転々し、酩酊

すなわち、世界ではまだ何一つ最終的なことは起こっておらず、世界の、あるいは世界についての最終的な言葉はいまだ語られておらず、世界は開かれていて自由であり、いっさいは未来に控えており、かつまた永遠に未来に控え続けるであろう、と。(『ドストエフスキーの詩学』P.333)

ぼくたちは、いちごちゃんたちが歌う歌から希望をもらった

模倣からオリジナルスターへ ――希望を与える歌詞

 アイカツ新シーズンで新キャラの大空あかりが出てきて、いちごちゃんみたいになりたい、と言い続ける。こういうアイドルの世界とか(いまの世の中全般もそうだけど)、個性が大事だって言われてて、あなたはあなたのアイドルをやらないとだめなんだ、というふうに持って行くのがお話的に普通だと思う。
 アイカツのいいところは、模倣を否定し、個性をことさら崇めるわけではなくて、最初は模倣でもいいって言っていること。77話では大空あかりがいちごちゃんを真似していることを否定するようなことは一切出てこない。アイドルになったからには、本物(オリジナルスター)にならなくちゃいけないけど、目指すためには最初は模倣でもよい、というのはぼくたちに希望をくれる。
 新OP『SHINING LINE*』の歌詞もそう言っている。
《いつでもあこがれが 最初の道しるべ
 今わたし達の空に 手渡しの希望があるね
 受け取った勇気でもっと 未来までいけそうだよ》
 あこがれ、という部分が、美月の場合はマスカレード、いちごの場合は美月、そしてあかりの場合はいちご、というふうに代入できるし、それはぼくたちの場合でも一緒だ。
 アイドルアニメが流行っている、もしくは好きになれる理由というのがたぶんこの部分だと思う。アイマスの『自分REST@RT』も泣きそうになるぐらいポジティブな歌詞だ。

アイドルの歌詞について

 じゃあラブライブの歌詞を考えてみよう、となると、ん? となる。そうだラブライブの歌詞は畑亜貴さんだ。彼女の詞はメッセージよりも語感が優先で、楽曲に乗るという歌詞を考えたらそれが第一になるのはあたりまえのことだ。畑亜貴さんの詞で一番好きなのが、アイマスの『私たちはずっと...でしょう?』で、あのリフレインのサビがメロディを底上げしている。畑亜貴さんの詞はそういう効果があって、ラブライブもそういう曲はいくつかある。ただし、アイドルが歌う詞としてはどうなんですか、という感じがある。
 いい歌詞というのは二種類あって、メロディを底上げする歌詞と、気の利いたメッセージの歌詞だ。音楽というのは歌詞を増幅する効果があって、巷でよくある稚拙な歌詞(たとえば西野カナ)でも曲に乗るととたんに感動できたりする。そういう効果を狙った場合、実は歌詞は率直なほうがいい。ぱっと聞いたとき意味が理解できたほうがいいからだ。