転々し、酩酊

すなわち、世界ではまだ何一つ最終的なことは起こっておらず、世界の、あるいは世界についての最終的な言葉はいまだ語られておらず、世界は開かれていて自由であり、いっさいは未来に控えており、かつまた永遠に未来に控え続けるであろう、と。(『ドストエフスキーの詩学』P.333)

ShortNoteに削除された作品、「ネット回線が遅すぎる」を公開します。

ネット回線が遅すぎる

 
 ネットの回線がぶちぶちと切れるので俺の血管も切れそうだった。やらしい動画をダウンロードしようとしているのに、一向にひとつも落とせない。パンツからはみ出たちんこは萎むばかりだ。
 パソコンの裏のネットのケーブルを見ようと、身を屈めてみると、がさ、がさ、という音がする。すわゴキブリかと思って、違う用途に使おうと思っていたティッシュを三枚ドローし、慎重にパソコンの裏を見る。
 パソコンの裏ではグレムリンがケーブルを抜き差ししていた。はあ、なるほど。こいつのせいで俺はオナニーができなかったのだ。
「おい、グレムリン。おまえはいったいなぜケーブルを抜き差しするんだ」
「ああ、いえね鈴木さん。わたくしはケーブルを抜き差ししているわけではありません」
 そう答えるではないか。俺とダイアローグをしている間も彼はまだケーブルを頭の上に持って、穴に向かって入れたり出したり。
「ではいったい」
「これはわたくしの娘が生け贄にされないようまじないをかけているのです」
「ほう」
「わたくしたちは比較的新しい妖精で機械に強いとはいっても、インターネット様は手に負えない。彼はわたしたちグレムリンをたびたび取り込むのです。ですが、あるとき生け贄を捧げる風習ができました」
「ああ、よいよい、だいたいわかった。そうかなるほど、おまえの言っていることはよくわかる。同情しよう。だが、俺はいま性欲の処理をしようとしていたのだ。わかるな。これが終わってからならばいくらでも抜き差ししてよいぞ」
「ありがとうございます鈴木さん」
 俺は快適なスピードになったネットで無料の無修正動画をダウンロードし、グレムリンのことを思ってすばやく吐精した。
 
 
作者より
 
 ShortNoteというウェブサービスに投稿したしょうもないショートショートです。
どうやら規約に違反したらしく削除されました。(⑨わいせつなもの、と見做されたのかな)
 ShortNoteは健全なサービスにしたいようですね。このサービスからは筒井康隆のような人物が生まれることはないでしょう。
 まあ、そういうサービスということです。
 ちゃんとプラットフォームの意向に沿ったコンテンツを作りましょう(自戒)。
 
 
 
規約
 
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