転々し、酩酊

すなわち、世界ではまだ何一つ最終的なことは起こっておらず、世界の、あるいは世界についての最終的な言葉はいまだ語られておらず、世界は開かれていて自由であり、いっさいは未来に控えており、かつまた永遠に未来に控え続けるであろう、と。(『ドストエフスキーの詩学』P.333)

差別主義者

 君は自分のことを差別主義者だと言う。
 君が言う、差別がなくなるととんでもない世のなかになるっていうのはとてもわかる。
「たとえば、貧困層のための寄付とかがある。
「でも差別がなくなれば、誰も貧困層のために寄付なんてしなくなってしまう。
「だって、寄付する側は自分たちが貧困層よりも裕福だから救ってあげたいと思うから寄付するんだ。
「それは富裕層が貧困層を差別しているからだ。
「だから俺は健全な差別をするんだ。
「俺は差別主義者だ」
 そう説明された僕は納得したよ。
 たしかに差別がなくなると/平等になってしまうと、困るひとはいっぱい出てくる。
 でも、なんだか僕は君のその理屈はおかしいように思う。
 なにがおかしいのかわからないけど、なにかがおかしい気がする。
 それとも、おかしいと思う僕のほうがおかしいのかもしれない。
 よくわからないけどね。
 でも、これだけは言える。
 君だけがそういう思想を持っていたとしても、世のなかはなにも変わりようがないということ。
 君のその思想は君が気持ちよくなるためだけの思想だよ。