転々し、酩酊

すなわち、世界ではまだ何一つ最終的なことは起こっておらず、世界の、あるいは世界についての最終的な言葉はいまだ語られておらず、世界は開かれていて自由であり、いっさいは未来に控えており、かつまた永遠に未来に控え続けるであろう、と。(『ドストエフスキーの詩学』P.333)

幻翼の天使

あまねくアルペジオ

あまねくアルペジオ ぼくは蝉が暑さにわめいている声がかすかに聞こえる部室のなかで音楽をやっていた。 「完璧だね」とヴォーカルが後ろ手を組んで微笑む。汗のせいでセミロングの髪が首筋にはりついていて艶めかしい。 「ああ……水」とドラムがペットボトル…

これは天啓

これは天啓 今ではもう宇宙というものがあることが分かってしまったけど、はるか昔、雲を超えて、青い空を超えて、星が描いてある壁の向こうには翼のない人間が住んでいる世界がある、と言われていた。 今でもそれを信じている人が多いけど、ちょっと待って…

幻翼浮遊

幻翼浮遊 背中の翼がひどく痛む。周りの人間は「翼がないのに痛むはずがない」と言う。または「それは幻肢痛というものだ」と、頼んでもいないのに説明をしてくる人間もいる。幻肢痛についてあのやらしい笑みで説明してくる彼の顔を思い出し、翼の痛みにも拍…